Dv3, Ev3, Bシリーズ仮想マシンの性能検証
これは Microsoft Azure Advent Calendar 2017 11日目の記事です。
さて、先日も軽く触れたように西日本リージョンでDv3, Ev3, Bシリーズの仮想マシンが使えるようになりました。
ということで、改めて各シリーズの性能を検証して、使いどころを探ってみたいと思います。
コア単価とメモリ単価
まずはスペックシートの情報と価格から、よく使いそうな4コア仮想マシンのコア単価とメモリ単価を算出してみました。
以前に東南アジアリージョンで算出していたものの西日本版です。
▼コア単価
▼メモリ単価
傾向は東南アジアの時と似ています。コア単価上位にAシリーズがいますが、Fシリーズがほぼ同価格でACUが倍ということで、実質的にはFシリーズの圧勝ですね。
EとDでは、よりメモリが必要であればEシリーズ、CPU性能が高いのはDシリーズ、という棲み分けになりそうです。
ネットワーク
続いてネットワークですが、Azure公式サイトのスペック情報には記載があったり無かったりしましたので、おもだったインスタンスでスループットを実測してみました。
Azureのドキュメントで紹介されているNTttcp.exe を用いて、同じ仮想ネットワーク上の同じサイズの仮想マシン間で測定しました。
▼シリーズ間での違い
▼コア数による違い
こちらもテキスト版をGistに置きました
インスタンスのシリーズによる違いは、Bシリーズが遅めな他は(物理)コア数にほぼ比例するような結果になりました。Dシリーズであれば、同じコア数のv3よりv2の方が広帯域ということです。そしてLシリーズは飛び抜けてますね。
Dシリーズを使って、同じシリーズでのコア数による違いも実測してみました。ほぼコア数に比例して倍々で増えてますね(間にv2が挟まっていますがお気になさらず)。
ストレージ
個人的にはここがいちばん気になるところです。 西日本で今回新たに使えるようになった3種類に加えて、比較用に3種類を加えて測定しました。
サイズ | スペック | 特徴 |
---|---|---|
Standard B4ms | 4 vcpus, 16 GB memory | CPUがバーストできる。要するにt2。データディスクのキャッシュは有効にできない。 |
Standard E4s v3 | 4 vcpus, 32 GB memory | Turbo BoostとHyper Threadingできてメモリ多め。 |
Standard D4s v3 | 4 vcpus, 16 GB memory | DシリーズのHyper Threading対応版。 |
Standard D8s v3 | 8 vcpus, 32 GB memory | Dv3シリーズのコア数による違いの比較用。 |
Standard DS3 v2 | 4 vcpus, 14 GB memory | Dv3とDv2シリーズの比較用。Dv2は物理コア。 |
Standard L4s | 4 vcpus, 32 GB memory | 参考用(東日本)、ストレージ最適化インスタンス。データディスクのキャッシュは有効にできない。 |
デフォルトのCドライブ、Dドライブに加えて、データディスクとしてPremiumStorage(P30)をFドライブとしてアタッチしてそれぞれ計測しました。
キャッシュはC, DドライブでRead/Write有効、FドライブはReadのみ有効…とするつもりでしたが、測っていて気付いたのですが、Bシリーズ、Lシリーズは追加したディスクのキャッシュは有効化できないようです。ポータルから見るとこんなメッセージが出ていました。
また、Dv2シリーズは物理コア数、Dv3シリーズはHyper Threadingもカウントした論理コア数ということで、スペック表の記載でもそもそも列の数からして違っています。どういう違いになるか、実測して試してみましょう。ツールはいつものCrystalDiskMarkです。
シーケンシャルリード / ライト (MB/s)
こんな感じになりました。
サイズ | 測定項目 | Cドライブ (MB/s) |
Dドライブ (MB/s) |
Fドライブ(P30) (MB/s) |
---|---|---|---|---|
Standard B4ms | Sequential Read | 30.4 | 32.0 | 35.3 |
Sequential Write | 30.4 | 32.1 | 35.4 | |
Standard E4s v3 | Sequential Read | 67.5 | 69.2 | 67.5 |
Sequential Write | 67.5 | 69.2 | 67.5 | |
Standard D4s v3 | Sequential Read | 67.5 | 69.2 | 67.3 |
Sequential Write | 67.5 | 69.2 | 67.5 | |
Standard D8s v3 | Sequential Read | 134.9 | 136.1 | 135.0 |
Sequential Write | 135.0 | 136.7 | 135.0 | |
Standard DS3 v2 | Sequential Read | 134.1 | 136.7 | 134.2 |
Sequential Write | 101.0 | 136.7 | 135.0 | |
Standard L4s | Sequential Read | 205.1 | 207.3 | 127.9 |
Sequential Write | 197.9 | 207.9 | 128.8 |
BシリーズはEv3, Dv3の約半分という結果でした。スペック通りではありますね。
Dシリーズは、Dv3の8コアとDv2の4コアが同じくらいという結果になりました。
Lシリーズはさすが「ストレージ最適化インスタンス」ですね。
Random Read/Write その1 (IOPS, Q= 32,T= 1)
Q= 32,T= 1 の結果です。
サイズ | 測定項目 | Cドライブ (IOPS) |
Dドライブ (IOPS) |
Fドライブ(P30) (IOPS) |
---|---|---|---|---|
Standard B4ms | Random Read 4KiB | 3,684 | 3,898 | 3,935 |
Random Write 4KiB | 2,333 | 3,910 | 3,955 | |
Standard E4s v3 | Random Read 4KiB | 8,217 | 8,440 | 8,230 |
Random Write 4KiB | 7,994 | 8,443 | 5,137 | |
Standard D4s v3 | Random Read 4KiB | 8,240 | 8,375 | 8,235 |
Random Write 4KiB | 8,177 | 8,413 | 5,115 | |
Standard D8s v3 | Random Read 4KiB | 16,357 | 16,574 | 16,417 |
Random Write 4KiB | 16,316 | 16,675 | 5,134 | |
Standard DS3 v2 | Random Read 4KiB | 16,433 | 16,627 | 16,476 |
Random Write 4KiB | 15,109 | 16,553 | 5,130 | |
Standard L4s | Random Read 4KiB | 20,540 | 20,800 | 5,141 |
Random Write 4KiB | 20,401 | 20,772 | 5,149 |
こちらもシーケンシャルリード/ライトと概ね同じ傾向です。キャッシュが効く範囲ではインスタンスのサイズというかお値段がそのまま反映されますね。
Random Read/Write その2 (IOPS, Q= 1,T= 1)
こちらは Q= 1,T= 1 の結果です。
サイズ | 測定項目 | Cドライブ (IOPS) |
Dドライブ (IOPS) |
Fドライブ(P30) (IOPS) |
---|---|---|---|---|
Standard B4ms | Random Read 4KiB | 2,929 | 2,561 | 320 |
Random Write 4KiB | 3,529 | 3,377 | 338 | |
Standard E4s v3 | Random Read 4KiB | 3,967 | 2,924 | 3,992 |
Random Write 4KiB | 6,306 | 3,667 | 346 | |
Standard D4s v3 | Random Read 4KiB | 6,290 | 5,571 | 6,216 |
Random Write 4KiB | 8,176 | 8,352 | 345 | |
Standard D8s v3 | Random Read 4KiB | 16,030 | 5,506 | 15,880 |
Random Write 4KiB | 15,242 | 9,549 | 359 | |
Standard DS3 v2 | Random Read 4KiB | 9,100 | 4,014 | 12,308 |
Random Write 4KiB | 8,572 | 5,932 | 336 | |
Standard L4s | Random Read 4KiB | 18,662 | 6,079 | 441 |
Random Write 4KiB | 19,585 | 11,122 | 514 |
ちょっと面白い感じになりましたね。それでもLシリーズが速いのはさすが。
まとめ
というわけで、スペック表にあまり記載の無い項目をいろいろと実測してきました。インスタンスタイプ選定のお手伝いになりましたら幸いです。
尚、あくまで個人的に測定した結果ですので、今後、インフラ増強などで変化する可能性がありますのでご注意ください。
過去のベンチマークシリーズ
こちらからどうぞ。
▼Lシリーズ asazure.hatenablog.jp
▼Ev3シリーズ asazure.hatenablog.jp
▼Fv2シリーズ asazure.hatenablog.jp